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民芸品や生活必需品・生活の智慧に至るまで、すべてに『魂心』を込めてきた歴史がありました。
日本民族学の先駆者は柳田国男ですが、『伝承文化学』という学問はまだ日本にはありません。インターネットで検索しても、「伝承文化」と検索すればかなりの量が出てきますし、日本語の感覚でだいたいの意味が掴めると思いますが、『伝承文化学』となると別なのです。
ちなみに国語辞典で「文化」「伝承」の意味を引いてみました。

【文化】
 (1)世の中が開けて生活が便利になること
 (2)人間の営みによってつくりだされたもの
 ※生活様式・宗教・道徳・芸術などのすべて

【伝承】
 (しきたりや伝説を)受け継ぎ後世へ伝えること
  (デイリーコンサイス国語辞典―三省堂より)

つまり、様々なものが文化伝承の対象になることがわかると思います。以下は、2005年10月に米国アトランタで開催された『アメリカ伝承文化学会』のプログラムのほんの一部です。


アメリカ伝承文化学会プログラムより
・フィンランド伝承文化 
・ポスター:健康と融和における応用伝承文化
・教育における庶民伝統生活の理論の役割
・フォーラム:あの話を語る:現代アフリカ系アメリカ人の物語の語り
・発見されたメリーランドの伝統
・文学における伝承文化:ギリシャからシェイクスピアまで
・発達途上文化:競争の意味
・子供向け伝承文化、映画、名前
・電子(装置)セミナー:博物館での伝承文化を介した寛容性教育
・会話体の伝承文化:ことわざ、民族の語り、ゴシップ
・映画部門:マディソン郡プロジェクト:音の記録化
・南カロライナ州の伝承文化と庶民の生活
・女性による工芸:価値の表現と力の喚起
・弦楽器:フィドル(弓弦楽器)からギターまで
      アメリカ先住民の特性の位置づけ
・割烹観光 因襲的料理の構築 文化の特質
・パフォーマンス:劇場、喜劇と音楽
・討論会:ラテン伝承文化学奨学制度
・楽器演奏ジャムセッション
・ 総 会:なぜ民俗学(伝承文化学)には「決定的理論、学説」が無いのか?

最後の行にあるように、伝承文化学は、その幅の広さゆえに、120年の歴史あるアメリカの学会でも未だ定義付けが難しく議論されているのが現状なのです。
それは、伝承文化の対象となるものが、その歴史が5年10年のものもあれば、数百年・数万年に至るまで、非常に広範囲であることも、一つの理由と思われます。
 
 
日本には世界最古の伝承文化がある

日本では、古来から地域で引き継がれている衣食住に関わる文化。また、お祭りや玩具・昔話・民謡・わらべ唄などの民芸文化。茶道・華道・日本舞踊・三味線などの伝統的な文化を保護したり、継承し発展させるための施設などで、『伝承文化』という言葉が、現在よく使われているようです。

伝承文化ということを、特別なものと考えてこなかったのは、日本の社会や生活の中に、その要素が含まれているからかもしれません。

しかし現実的には、近年これまで当たり前に伝承されていたことが、若い世代に受け継がれなくなっていることがあげられます。
理由はさまざまにあるでしょうが、身近なものに関しては、日本は世界で最速の高齢化社会をむかえ、生活の智慧が伝承されにくくなっていることがあげられます。

また、伝統文化に関しては、国が保護しなくなったことや、伝承そのものには、時間と根気・修行が必要なこと。また、続けても食べていけないからという声もあります。

日本は、世界でも稀にみる高度な文明を持つ国と言われています。

それは、手先の器用さ、勤勉さもさることながら、その背景には物作りの中に、精神性を重んじていることがあげられます。五重塔などの左右対象の大きな建造物もさることながら、欠けた茶碗にも生命や美を見いだす。創作者の魂が込められる。こうして創造されたものは、国の宝(重要文化財)として残されようとしているものだけでなく、民芸品や生活必需品・生活の智慧に至るまで、すべてに『魂心』を込めてきた歴史がありました。

また、その歴史は世界中のどこよりも古く、世界4大文明と言われる場所から、さらに遡り縄文時代(今から一万二千年以上)にもなるのです。原始時代とはいえ、高度な文明があったことが、ここ最近の発掘や研究から証明されつつあります。

どこの国に行っても、自国の文化や歴史を誇りに思わない人はいないのです。しかし、日本は今まさに、その伝承文化されてきた本当に大切なもの、『精神性』を捨てようとしているのです。

文化を伝承するためには、理屈を優先する学問ではとうてい出来ません。伝承された文化と同じものを創造できる智慧や工夫。さらに、新しい物を生み出す人間性(霊性)が必要不可欠だからです。
 
 
日本文化は精神性の文化

日本人は、これまで猿まねとよく言われてきましたが、猿まねでは、似たようなものを作るだけで終わってしまうはずです。

しかし、ドキュメントなどの番組で紹介される日本人の活躍は、確かに先に諸外国で作られたものも含まれますが、それをより発展させて、これまでにない新しい技術や発想・手段で、多くの問題を解決したり、人類の役に立つ創造をしています。

そして、多くの日本人に指示されたその背景は、ただ物を作ったからというだけでなく、今、無意識に求めている日本人としての誇りや心意気(=精神性)を感じたからではないでしょうか。

IT技術が発達して高度な文明とされる家庭の中には、当たり前のようにテレビや洗濯機・電子レンジ・パソコンといった便利な機械が並び、すべてワンタッチやキーを複数押すだけで様々な用事を、いとも簡単にすませてくれます。生活技術の革新が人間にとって、より進化を促すものであればそれは素晴らしいことに違いありません。 

しかし、現実には人は疲れ果て、生活することだけに追いまくられて、あげく生きる目的さえ失ってしまったり、吐き出せないストレスを抱えている人のいかに多いことか。それが、人間とは思えない凶悪犯罪を起こしている例も増加の一途です。

物質的な物のみの豊かさや、安易な人生観が実は人類、または人間として退化していることになっていることを、私たちは早く気づかなければなりません。
私たちの遺伝子には、数万年前から培い伝承されたものが引き継がれているのです。

日本で行われる『文化伝承学』は、日本のこれまでの歴史の全てを含んだ上で、ただの学問を越えた、縄文時代から培ってきた精神性を主軸にしたものでなければならないと考えます。 今こそ、私たちは日本人として、自覚と誇りをもって、日本文化を伝承していかなければならないのです。また、伝承文化には、日本でなければ出来ない素晴らしい礎があるのです。
 
 


日本の文化で培われた『精神性が物の形を創る』ところに
日本伝承文化の本質がある

 
私たちは日本人です

私たちは、当然のことながら日本人です。

では、日本人として日本のことをどれだけ知っているか。また、海外の方から、例えば『日本文明とは?』とか、『柔道のお辞儀の意味は?』『いただきますの意味は?』『いただきますの時何故、手を合わせるの?』と聞かれた時、答えられますか?

日本文化を伝承する・・・・。

『言うは易く行うは難し』で、自国の歴史や伝統、その中に流れている誇り・・・・外国では、当たり前のように意識され伝承されていることを、日本人は今、捨てようとしているのです。

生活が便利で豊かになることは良いことです。しかし、例えば欧米化された食事は、深刻な健康問題を引き起こしています。逆に、今や健康志向の高まっているアメリカやヨーロッパで日本食がブームになっています。

そして、健康のこと以上に、私たちが危機感を持たなければならないのが『ものの考え方』なのです。

「NOと言えない日本人」とか「事なかれ主義」「猿まね」といったように、これまで日本文明は否定されてきた感があります。そして、日本人もまた、戦後のわずか60年の中で、私たちの文明を否定してきた歴史があるのです。

しかし、本当にそうでしょうか?私たちの祖先が、1万年以上も昔の縄文時代から培ってきた文明・文化は、一言で否定できるほど価値のないものなのでしょうか。

決してそうではないはずです。
 
 

世界に誇れる日本文明

歴史の事実をよくよく思い出してください。例えば浮世絵が、19世紀フランス絵画の芸術家達、特に印象派のモネ、ドガ、ルノアール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ロートレックなど錚々たる芸術家に影響を及ぼしたことはあまりにも有名です。

また、近年でも日本映画界の巨匠故黒澤明監督が、フランシス・コッポラ、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスといった世界の名だたる映画人にも大きな影響を及ぼしたと言われています。

なぜ、日本文化の中にそういった巨匠達を魅了するものがあるのでしょうか?
 

日本の伝承文化とは精神性の伝承

茶道・華道・柔道・剣道・相撲道・武士道・・・・というように、日本の文化は『道の文化』とも呼ばれています。

例えば、スポーツを一つとっても、欧米では『勝負』といい勝ち負けを競います。戦争の歴史でも勝ったものが負けた者を支配し奴隷などにしていきます。

しかし、日本では『試合』つまり「試し合い」なのです。 自分の腕がどのくらい高まっているか相手の胸を借りて試すのです。だから、礼を持って相手に対して「よろしくお願いします」と頭を下げるのです。

その奥に秘めているものは、例えば、戦国武将である武田信玄の言葉の中にもあります。

人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり。

どれだけ城を堅固にしても、人の心が離れてしまったら世を治めることはできない。
情けは人をつなぎとめ、結果として国を栄えさせるが、仇を増やせば国は滅びる。
およそ軍勝五分をもって上となし、七分をもって中となし、十分をもって下と為す。
その故は五分は励を生じ七分は怠を生じ十分は驕を生じるが故。たとへ戦に十分の勝ちを得るとも、驕を生じれば次には必ず敗るるものなり。
すべて戦に限らず世の中の事この心掛け肝要なり。
 
 
CMF国際大学の伝承文化は精神性の伝承文化
 

礼を尽くす。和をもってなす。刀を抜かずして勝つ。負けるが勝ち。喧嘩両成敗・・・・

このような精神性は縄文時代から引き継がれ育まれた日本独自のものであり、ただの結果論ではなく過去も未来も含めた生き様そのもの(精神性)が、道の文化=日本文明と言えるのです。

そして、道を極めるとは、単純に剣道や柔道が強くなるということではなく、生活空間の中で自然と融和し、社会の秩序を守り、与えられたいのちを最大限に燃やして生き抜く心(魂)を育てることなのです。この精神性が、日本文化のすべての物の形を創ってきたのです。

文化伝承といえば『古来から形として残っている物』を継承すると解釈されていますが、『日本人の中に培われている精神性こそ、文化として伝承するもの』とCMF国際大学では捉えています。

戦前には、その精神性を培う教育が『修身』としてなされてきましたが、戦後、すべてが破棄され日本人の心(魂)の崩壊を招いているのです。

その日本人の遺伝子に縄文時代から継承されている精神性を学術的に体系化したものが、CMF国際大学の『総合人間教育』であり、それを具体的にカリキュラム化したものが、『修身教育=運命創造学』です。

一人でも多くの人が、本当の日本人としての精神性を取り戻し、社会に世界に貢献していくことこそが、『日本伝承文化』となるのではないでしょうか。